(感想) ネタバレ有り 「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」視聴後感想

今回の記事はゲームと関係ありませんが、「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」(以下平ジェネ)を映画館で視聴してきたので、その感想を述べていきます。

 

タイトルにもある通り、ネタバレ全開でレビューしていきます。未視聴の方はあらかじめご注意してください。

 

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はっきりとしたキーワードと、全ての人への教訓

今作は「20作記念」と「平成最後」という触れ込みがあったため、既存のファンに向けたお祭り映画かと思ったら、視聴する子供にもしっかりと伝わる「コンセプト」と「教訓」があるのがとても好印象でした。

 

キーワードは「仮面ライダーを覚えていること」。教訓は「仮面ライダーに会えなくてもなれなくても虚構であっても、覚えて応援することが大切だ」ということ。

 

今作を理解するために鍵となるのが「誰かが覚えていることで存在は消えない」というルール。アタルの願いによって現実世界に召喚された戦兎と龍我は、現実世界の人間たちが記憶してくれたため「仮面ライダービルド」という作品の記憶と力が蘇っている。逆に、フータロスの力が歴史改竄に及ばなくなった結果、存在が消えてしまっている。

 

PVの紹介でも分かる通り、「現実世界」は今現在我々が住む世界と酷似、というか意識して同じく作っている。この点からも分かる通り、「仮面ライダーを覚えていること」が今作のキーワードであり、制作側の伝えたいことは「仮面ライダーをいつまでも覚えていてね!」という意図が見える。正にFOREVERだ。

 

 

だがこの制作側の伝えたいことを『教訓』に格上げしているのが実に良い点だ。アタルというただの特撮オタク我々に近い人物は弟シンゴが攫われた、仮面ライダーに会いたいと思う反面、仮面ライダーは虚構であり現実を変えてくれない存在と認識している。テレビでライダーを見ている我々と正に同じであり、ライダーは虚構であると見せつけられる。

 

それに対する解を答えるのが、存在しないはずの人間であり、エボルトによって作られたヒーローである桐生戦兎だ。彼は虚構であることは重要ではないとし、本物も虚構もまとめて人々を助けることが重要とした。悩むソウゴに道を見せる、正に先輩ライダーの鏡とも言うべき教えだ。ビルド本編を最近まで見ていた子どもたちにならば、この教えはまざまざと感じるだろう。

 

そして同じく時間と記憶をテーマに戦い続けた野上良太郎佐藤健の言葉は、我々大人に刺さる。ガチレジェンドの貫禄というか、とにかく良太郎の存在感は凄まじかった。会場では子供はあまり驚かず、大人はあからさまに動揺、悲鳴を挙げていた。

 

 

『ビルド』と『電王』 意外にも似たテーマを持ったこの作品から伝えられた教訓は、子どもたちと大人たち両方に向けているとても良い演出だった。

 

 

複雑化しすぎた時系列、活かしきれないキャラ

ジオウ本編もこの問題は存在しているが、時系列がごちゃつき説明に時間を使い、キャラの掘り下げが甘くなっている点が今作では目立った。

 

結局フータロスって何なん? ティードって何でライダーを根絶したかったの? アナザーダブルの正体は誰? 

 

などなど、様々な疑問が解消されないまま映画が終わってしまう。特にフータロスは勿体無いなぁと感じてしまうほど良いキャラ付けをされており、滝籐氏の優しい声色もあって筆者的には今作のお気に入りキャラになっている。電王やイマジンたちの絡みももっと見たかったため、非常に残念だ。

ごちゃついた理由として「アタルがいる現実世界」「記憶が無い世界」「ジオウ本編の世界」「ライダーがいない世界」など世界や場所を行ったり来たりしながら説明されるため、非常にごちゃついて見にくい。というか世界多すぎ。

ティードが建築した塔での戦闘も、まとめ撮り感がすごい行き来の連続のために落ち着いて見ることが出来ない。ジオウの設定を活かしつつ電王の要素を加えるのは少し無茶すぎると感じる。

 

 

 

既存ファンを狙い撃ちした、「過去を覚えているアクション」

設定の粗は目立ったが、アクションは素晴らしいの一言だ。

特にクウガは、五代雄介=オダギリジョーの声を使用したライダーキックや、泥臭いバイクアクションを行うなどテレビ本編のアクションをかなり再現している。これまでの映画でありがちだったクウガの動き『っぽい』アクションではなく、まるでテレビ本編からそのまま切り取ったような、呼び出されたレジェンドライダークウガではなく、『五代雄介』であることを異様に感じる。言葉にするなら「過去を覚えているアクション」だ。

 

本編を知らない子どもを置いていく、既存ファンだけを狙い撃ちしていく姿勢。東映のテレビ本編再現にかける本気をすごく感じる。

 

 

 

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テレビ本編を「覚えている」既存ファンを喜ばせる佐藤健の出演、テレビ本編のアクションの再現など見どころが多い今作。それだけではなく、子どもたちにライダーを覚えていることの大切さを説いているのはとても好印象であった。平成最後のお祭り作品ではなく、これから先の仮面ライダーというコンテンツを未来に繋げる、大人や子どもに「ずっと覚えていてほしい」という願いを感じる作品であった。