(感想)『スマブラSP』レビュー 化け物の光と影

「化け物タイトル」

大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』(以下スマブラSP) が発売されてからすでに二週間が経過した。

 

発売三日間で123.8万本を達成した今作は、正に年末に出現した化け物タイトルだ。

PS4の値下げ、amazonサイバーマンデーを振り切り、発売数日前に開始されたpaypayの「100億円キャンペーン」(現在は終了しています) というこれまた化け物キャンペーンの加護も合間って、switch本体の売り上げも大きく伸ばした。

 

自分もpaypayのキャンペーンを切っ掛けにswitchとスマブラを買った口であり、発売数日間はtwitter上で「スマブラSP」のトレンドが常に表示された。「全員参戦!」という触れ込み通りである、全76体ものキャラ総数はプレイヤーを飽きさせず、X世代感涙のスネークが使用できるなど過去作を遊んでいたプレイヤーに懐かしさを与える。

 

ストーリーモードである「灯火の星」も案外面白い。これまでのスマブラシリーズの一人用モードといえば精々オマケ程度の要素(Xの亜空の使者を除く) であり、あまり評価されるものではなかったが、スピリッツという新要素を絡めた多くのステージはまさかの「原作再現」を行っており、フライゴンのステージでは緑色のリドリーが襲ったり、BOtWゼルダのステージではドンキー、ファルコ、インクリングゼロサムで4人の英傑を再現したりと、開発チームの強引、豪腕と言わざるを得ない原作再現ステージは飽きが来ず非常に面白い。

 

更には今後、自分が大好きな「ペルソナ5」からジョーカーが参戦決定するなど発売後のアプデでますます神ゲー化が止まらないタイトルとなっている。他のゲームを寄せ付けず、存在感を放つ今作は「化け物タイトル」の名前に相応しいだろう。

 

 

◯ ◯ ◯

 

・・・さて、ここまで語ってきたのはこの化け物の「光」である。

twitter上にて、ある投稿が反響を呼んだ。

 

 

この投稿を皮切りに、twitterでは「スマブラSPは難しすぎて子供向けではない」という意見が見られるようになった。

「挑戦者が難しすぎる」という問題点をあげたこのレビューから、現在のソシャゲとスマブラを比べる人が出たり、今の子供の堪え性が無さすぎるなどの意見が出たりと、数日は場外乱闘が発生した。

 

この状況の中で、そしてプレイした自分の感想。

それは「不親切」という今作の影である。

今作は確かに難しい。しかしその難しさは挑戦者のレベルが高いという難しさではなく、システム面の不満から生じる難しさなのだ。

 

アプデで改善されることを願い、ここに記していく。

 

キャラ解放と周回

まずはこの画像を見て欲しい

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上からDX、X、for、そしてSPの初回起動時の初期キャラの画像である。

見ての通り少ない。「64と同じ初期キャラだ〜。懐かしい〜(泣)」

 

とはならない。

何故ならばSPの全キャラは74体。全キャラ解放するまでには66体もの挑戦者に勝たなければいけないのである。

正直言ってダルい。ダルかった。スマブラを遊ぶ動機として大きいのは「灯火の星をやりたい!」「友達とワイワイしたい!」よりも先に、「新キャラや復活したキャラを使いたい!」という感情である。その感情を満たすためにはキャラ解放をしなければいけないのだが、最適解となってくるのは大乱闘や勝ち上がり乱闘を「周回」しなければいけない。

「灯火の星」をプレイしながらキャラを解放するのが主だった方法だろう。しかしこの方法。「全キャラを解放するための周回」という観点からプレイすると絶望的につまらなくなる。キャラを一体解放するためには、何十体ものスピリッツやパズルを解かなければできず、ユニークなステージやマップを楽しむ余裕が無くなってくる。

「早くあのキャラ出てこないかな・・・」という苛立ちが優ってしまい、「灯火の星」が作業的=周回に感じてしまうのがつまらなさを感じてしまう。

 

やがてtwitterでは発売後すぐに全キャラを解放するための最速の方法を人々は求め始め、先駆者から出された情報は「大乱闘ストック1で自殺し、挑戦者に挑み、本体を再起動する周回」というあまり公式とは言い難いような方法だ。その挑戦者自体のレベルが高いのもあり、「難しい」という評価となった。

そもそもスマブラと周回の相性は悪い。というかアクションゲーム全般に言えることだが、周回は周回する内容が簡単で薄ければ初めて機能する。スマホ片手に、そもそもオートで出来れば良いのであって、一秒の集中を切らしてはいけないスマブラでは非常に疲れる。恐らく開発もこの周回は意図しないことだろうが、もう少し初期キャラが多ければ・・・と感じるこの仕様は「不親切」を感じてしまう。

 

専用部屋

友達とオンラインでスマブラを遊ぶ時によくある一時。

 

「次ルール変えて遊ぼうぜ!」

 

よくある言葉だが、この言葉を実行するためにはとんでもなくめんど臭い。

まず部屋を解散して、専用部屋を作り直し、ルールを設定し、ステージを決めて、部屋が出来たことを伝え、ようやく「ルールを変更して」遊ぶことができる。

だッッッッッッルい。これでは「for」の時代に桜井氏が語っていた「終点以外も遊んで欲しい」という言葉に思いっきり反する。現在のシステムでは、「ストック終点縛り」で遊ぶ方が随分快適であり、様々な遊び方のテンポが悪くなってしまう。新要素のチャージ切り札一つを変えるのにも部屋を解散する必要性は何だろう?

 

これらの遊びにくさに一番ダメージを受けるのは今作からスマブラを遊び始めた人や子供にしわ寄せが来る。既存プレイヤーはこれらの遊びにくさを「まぁでも楽しいし・・・」というある種の情熱で続けられるが、現在の仕様では新規プレイヤーは遊び続けることは難しい。慣れないスマブラの楽しさに目覚めるよりも先に、テンポロスに情熱が殺されてしまう。オフラインで遊ぶよりも、オンラインでボイスチャットしながらプレイすることが多くなった現代。性急に専用部屋の仕様を改善しなければ、新規プレイヤーの「飽きた」という投稿が溢れかえってしまう。

 

 

◯ ◯ ◯

 

 

初めての投稿で見にくい点があったと思うがいかがだっただろうか、今回の記事はスマブラをに期待した自分の「魂の叫び」である。今作のスマブラは明らかに慣れている既存プレイヤーに向けて作ったものであり、新規との間に溝ができている。その様子がSNSや初めてスマブラに触ったという生放送主などのコメントから感じ取り、書かずにはいられなかった所存である。

突き動かした理由のもう一つに、既存プレイヤーが熱狂し、新規が飽きて売ってとんでもないほど安くなり、その後の評価が芳しくない「モンスターハンターワールド」という前例があったためだ。

どちらも間違いなく面白い。神ゲーである。だが三ヶ月後の評価はどうなっているか?

 

モンスターハンターワールド」も「アイスボーン」という大型アプデ(遅すぎるが・・・)が待っている。

コンテンツを一年後も楽しみ続けるため、スマブラもシステムを改善したアプデを期待したい。

 

 

 

 

そして

 

 

ジョーカーよ、早く参戦してくれーーー